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レビューデータ研究の本格開始
大量の口コミから何が見えるか
「料理が最高だった」「お風呂は普通」「接客がいまいち」——旅行者が何気なく書き残す口コミには、数値評価だけでは捉えきれない体験の実像が埋もれています。
観光分野でのレビューデータ活用は近年活発に研究が進んでいますが、LLMの登場で分析の可能性が大きく広がりました。このタイミングで自分も本格的に取り組むことにしました。きっかけは、大学院生から「レビューデータやSNSデータを研究に使いたい」という声が増えてきたこと。自分自身もともと関心のあるテーマだったので、いい機会でした。
数十万件の口コミの感情分析
最初に取り組んだのは、大手OTAに蓄積された全国1年分の宿泊レビューデータです。数十万件の口コミにLLMで感情ラベルを並列処理で一括付与し、PRCAなど観光ホスピタリティ経営で使われている回帰分析の応用手法にて体験評価の構造を分析しました。日本の宿泊体験に特有の知見は何か、先行研究で紹介された他国との違いはないかを考察しました。また、LLM感情分析の精度評価として、Streamlitで専用のアノテーションアプリを自作して、人との違いの検証も進めています。この成果は現在、論文として投稿準備中です。

「何が書かれているか」の先へ
研究はここで終わりではありません。最新のトピックモデリングと時空間解析の組み合わせ、感情地理学や体験経済理論の導入など、既存研究の蓄積を踏まえながら分析の幅を広げています。口コミの中身だけでなく、「どこで・いつ・なぜそう感じたのか」——空間的・時間的な文脈まで掘り下げることで、新たな知見を引き出せると考えています。また、こうした分析を宿泊施設の改善に直接活かせるサービスとして提供できないかも検討中です。
研究スタンスの変化
以前は分析結果の解釈を最も重視しており、手法が高度かそうではないかにはあまりこだわっていませんでした。ただ、ここ数年の企業参画案件で機械学習・深層学習、シミュレーション、LLMアプリ開発と幅広く経験する中で、先端手法が生み出す価値の大きさを実感しました。解釈の質と手法の先進性は両立もできるはずなので、研究でも積極的に取り入れていきます。