研究
研究室全体の研究テーマと、教員の個人研究・共同研究を紹介しています。
ミッション
21世紀から世界中で大きな発展をみせた「観光」を対象に、地理学、都市・地域計画、空間情報科学の分野のアプローチから、
観光現象の地域的展開の解明、観光地マネジメント、地域観光政策などに関する研究を行なっています。
従来の地域調査から先端ITツールを使った分析など、様々な手法によって地域や人々の動向を分析し、
国策となった観光振興や観光地域づくりに関わる政策・計画・ビジネスに役立つ知見を提示していくことが研究室のミッションです。
ゼミの主な研究テーマ

観光現象の地域的展開 観光地理学研究
観光とは、観光者、観光地、観光関連産業などの相互作用によって成立する現象です。地域と観光との結びつき方を理解することは、観光地マネジメントの方針や将来の地域像を検討する上でも重要です。観光地理学で扱う以下に示す視点から、日本や世界の様々な観光地の動態について研究します。
- 観光地の発展・衰退のメカニズム
- 観光資源や観光産業の立地や分布
- 観光開発と地域社会へのインパクト
- 観光者の回遊・周遊行動とその規定要因
- 観光ネットワークの拡大と観光圏の形成

持続的な観光地のマネジメントに関する研究
地域の観光的魅力の向上や持続的な観光の実現には、地域特性にあった適切な観光地マネジメントを戦略的に実施していく必要があります。特に、地域が独自性をもった観光地として顕在化するために必要な観光資源について 、その調査や評価、発掘や活用、保護や適正利用に関する研究を行います。特に、以下のような課題について取り組みます。
- 地域のインバウンド対応
- 地域・資源の評価分析
- 資源活用による価値創造
- 観光公害と適正利用
- 災害リスクと危機管理

GISによる地域分析や政策・ビジネス支援
21世紀の最先端科学技術の1つといわれる地理空間情報技術(ジオテクノロジー)の観光分野への応用を研究しています。観光に関する行動、施設、産業、経済、環境などの空間データ(地域統計、位置情報ビッグデータ、GPS、衛星画像など)を地理情報システムによって取得・加工・視覚化することによって、様々な空間スケールでの観光政策・ビジネスを支援していきます。
- 観光施設の立地評価やエリアマーケティング
- 位置情報ビッグデータによる観光動態分析
- マルチスケールでの地域産業構造の分析

地域デジタルコンテンツの制作
地域の独自性や魅力を効果的に伝える手段として、デジタルコンテンツの制作と発信があげられます。すでに広く普及しているPR動画やSNSの手段に加え、生成AIや立体空間情報など最新の技術を活用した地域に関するコンテンツによって、多角的に地域の魅力を伝え、認知度を高めることを目指します。
- 地域PR動画の制作
- 若者目線のSNS戦略の提案
- 生成AIによるアート作品創作
- 360度映像や3Dモデルを活用した空間表現
研究アプローチ
参考情報として個人研究の事例を一部紹介します。
研究では、フィールドワーク、資料分析、アンケート、統計解析・データマイニング、GISなどを組み合わせています。
ビッグデータ解析では、PythonやRによるプログラミングが主な手段になります。

人流ビッグデータによる観光動態や集客圏の分析
Point先端科学ツールとビッグデータ解析による新たな知識発見と価値創造
GPS(Global Positioning System)ログ、位置情報付きSNSデータ、ダイアリーデータなど、観光行動を表す人流ビッグデータの応用研究を積極的に進めています。地理情報システム(GIS: Geographic Information System)による視覚化技術や、データサイエンスのアプローチを組み合わせることで、多様な分析が可能となり、新たな知識発見や価値創造につながると考えています。新しい解析手法の検討、現象分析への活用、地域計画・マネジメント業務への導入について、研究しています。これまで、特定の観光地から日本全国にいたるまで、狭域から広域のスケールにおける研究蓄積があります。最近では、観光地誘致圏の探索的分析のためのフレームワークやアルゴリズムの開発を研究しています。
参考:
・Sugimoto et al.(2019)Visitor mobility and spatial structure in a local urban tourism destination: GPS tracking and network analysis, Sustainability, 11(3) 919.
・杉本興運(2024)人流データを活用した観光地誘致圏の時空間的変化の分析ー箱根町を事例としたCOVID-19発生前後年における比較ー. 都市計画学会論文集59(2), p.158-167.

観光・余暇に関わる産業集積の空間分析や地域潜在力の評価
Pointミクロな時空間データを活用した新たな地域観光統計指標の開発
地理空間情報技術の進展や社会への浸透により、地域に関するあらゆるデータが入手可能になりました。その中には、集客施設や飲食店などの建物の位置を示すミクロな空間データの集合も含まれます。こうしたマイクロジオデータを使い、新たな地域観光統計指標の開発に取り組んでいます。それと同時に、産業集積や地域潜在力の測定への活用可能性について検討しています。最近は、時空間分析により、飲食業・娯楽業からみた地域の夜間経済特性を把握することへの応用研究を進めています。
参考:
・杉本興運ほか(2020)飲食店の集積と営業時間からみた商業地特性の分析:夜間の新宿、銀座、渋谷の比較, 地理空間,12(3),227-245.
・杉本興運(2023)イベントの時空間分布からみたライブエンタテイメントの全国的動向:音楽・ステージ系イベントの地域的特性と夜間経済との関係, 観光研究34(2), p.29-47.

立体空間情報やAI技術を統合したバーチャル観光体験の創出
Point先端技術による観光資源の情報発信と価値伝達
360度画像、3Dモデル、生成AI技術等を統合した観光資源のバーチャルツアーシステムの開発と運用を実践しています。観光資源を遠隔地から体感できるデジタル体験環境の構築とユーザへの印象評価を探究しています。開発したシステムは大学キャンパスの公式バーチャルツアーとして実装され、オープンキャンパスや新入生支援に活用されるとともに、観光DXやSTEAM教育の実践教材としても展開しています。ストリートビュー機能、案内チャットボット、都市3Dモデル連携など、複数の先端技術を組み合わせることで、従来の静的な情報発信を超えた、インタラクティブで没入感のある観光情報発信の可能性を実証しています。
参考:
・東洋大学HP,「[白山キャンパスバーチャルツアー、進化した第二版を公開](https://www.toyo.ac.jp/news/20251128-18660.html)」
・東洋大学HP,「[白山キャンパスのバーチャルツアーを公開](https://www.toyo.ac.jp/news/20250818-17954.html)」

観光現象の地域的展開や都市・地域の観光発展プロセスの理解
Pointフィールドワークによる国内外での地域調査、観光が地域へもたらすインパクトの深い理解
日本や外国の都市・地域を対象に、フィールドワークによる地域調査や文献資料などの分析を行い、観光現象の地域的展開や地域の観光発展プロセスを解明する研究を行っています。時と共に観光や地域は変化していきます。過去から現在までの地域戦略の歴史などを読み解き、観光による地域発展のプロセスを明らかにし、今後の地域戦略への活用を志向するとともに、観光によるインパクトの評価につなげていくことを目指しています。様々なデータをパズルのように組み合わせる思考作業は大変ではありますが、楽しさも感じられます。今まで、東京、シンガポール、ベルギーといった地域で調査を行ってきました。
参考:
・杉本興運ほか(2016-2020)都市観光地における観光地マネジメントの課題解決と再構築に向けた地域・観光動態研究. 東京大学空間情報科学研究センター CSIS共同研究
・杉本興運(2017)シンガポールにおける観光とMICEの発展, E-journalGEO,12(2) 246-260.
新規・継続(2023年度〜)

ジオテクノロジー活用ビジネス
- ジオテクノロジーを活用した観光分野におけるビジネスモデルを開発します。→終了しました
- ジオテクノロジーズ株式会社との共同研究(代表:杉本興運)

地域情報発信Webアプリ
- 立体的な空間情報を活用した地域情報のWebアプリケーションを開発するとともに、学生向けのSTEAM教育プログラムを整備します。
- 多機能型ストリートビューを活用したSTEAM教育推進(代表:杉本興運)

大学観光教育の質検証
- 大学の観光教育の効果について定量的な分析から検証します。
- 中長期での効果に着目した高等観光教育の評価(代表:栗原剛)

人流ビッグデータの利活用
- 人流ビッグデータを観光地マネジメントにどう利活用するのかについて研究します。
- 土木学会 位置情報履歴データ研究小委員会が提供する非集計ODデータを用いた分析(代表:杉本興運)
終了(2020〜2022年度)

新たな地域観光統計指標の開発
- 観光関連のビッグデータを基にした新しい地域観光統計を開発します。
- 科研費(基盤B)「データフュージョンによる時空間解像度の高い地域観光統計整備に関する研究」(代表:清水哲夫)など

新型コロナ・特別プロジェクト
- コロナ禍が観光へもたらした様々な影響について、実証的な分析を行い、今後の復興や対策を提案していきます。
- 日本観光研究学会分科会「新型コロナ・特別プロジェクト」定量チーム(代表:古屋秀樹)

夜間経済とナイトライフ観光
- 都市から自然まで様々なナイトライフ観光の動向から、夜の経済の発展可能性について検討します。
- 日本観光研究学会分科会「ナイトライフ観光とナイトタイムエコノミーに関する研究」(代表:池田真利子)など

観光地マネジメントと新技術
- 観光地マネジメントにおける新技術導入の可能性について検討していきます。
- 日本観光研究学会と日本観光振興協会の合同によるプロジェクト(代表:清水哲夫)
終了(〜2019年度)

若者と地域観光
- 若者の観光行動と地域受容基盤を明らかにし、将来の観光市場予測などに役立つ知見を導出します。
- 日本観光研究学会分科会「若者の観光行動と地域受容基盤に関する研究」(代表:杉本興運)など

インバウンド観光の地域的展開
- 都市や地方の地域を事例に、インバウンド観光の進展に伴う観光地の変化や現状の課題を明らかにします。
- 東京大学CSIS共同研究「持続的な都市観光地のマネジメントに向けた地域動態・観光動態に関する総合的研究」(代表:杉本興運)など

国際都市の観光MICE戦略
- 国際都市である東京、シンガポール、ブリュッセルの観光MICE戦略の比較研究をします。
- 首都大学東京改革推進費「東京MICE戦略のための効果的な空間活用方策を実現するための基礎研究」(代表:杉本興運)

観光ジェントリフィケーション
- 再開発などによって地域が高級化する過程での様々な変化(住民階層、文化、景観など)や課題について検討します。
- 研究環「大都市圏のジェントリフィケーション の研究」(代表:菊地俊夫)など

UENO PROJECT
東京を代表する都市観光地である上野にて、4年間にわたって観光地マネジメントや歴史編纂に関する産学官連携プロジェクトを展開してきました。
記念史の制作、回遊行動調査、イベント効果測定、文化施設実習、国際交流などを通して、様々な方々とコラボさせていただきました。首都大学東京(現・東京都立大学)に在籍していた頃のプロジェクトです。
詳しくは特設サイトにて → UP:UENO Project